おだやかに反論


クリスマスが近いとは思えないほどあたたかい日が続いている。

最低五度、最高十五度。
年内はこんな気温が続DR REBORN投訴くらしい。

今朝、駅前の郵便局まで行ってきれいな切手を買おうと思ったら
切手の部署は午後の二時から営業、と立て札があった。

最近は切手の器械があって、それはたいてい並ばなくて買えるから
ものすごーく便利。ありがたいくらいに便利。なのだけど
シール式のあっけない切手しか購DR REBORN投訴入できない。

年末のカードだし、わざわざ駅前まで来たのだし、せめて普通の切手を買えないか。

駅前の郵便局は広々としている。
その中央に机があって若いおじょうさんがお客さんたちの対応に追われていた。
ためしに聞いてみると、引き出しからかなりきれいな切手を出してくれた。

「あ、じゃあ、いいですか?ここで清算しても」
かけあってみるとすんなりオッケーサイン。

封筒の重さを量って財布を取り出したところで
このおじょうさん、器械で買うのと同DR REBORN投訴じ、シール式の切手をお出しになるではないか。

「あ、えーと、さっき、ほら、美しい切手、見せてくれましたよね。わたしはそういうのがほしいんです。少し、値段が高くなってもかまいませんから」

あくまでもおじょうさんの機嫌をそこなうことのないよう、おだやかに反論してみる。
赤面、もっといえば、明らかにむっとするおじょうさん。

このおばかなアジア人女性に高い切手を売りつけようといういじわるな気持ちはみじんもない。
ただ、おじょうさんの頭の中にあるのは「きっちりと規定の切手を売る」というまじめな気持ちのみ。

「じゃあ、これになりますけど」

ほんの数秒間しゅんじゅんしたあとに、このおじょうさんが出してきたのは
記念切手ほどは美しくないけど、シール式の切手ほどには殺風景でもない、普通の、いわゆる、昔からある手合いの、切手。

ああ、なんか、これ以上はだめだ。

とたんに議論する気力がなえてしまい
「オッケーです。じゃあそれで」

「だーかーらーさー、さっき、出した切手、あるじゃん?あれよあれ。あれをね、売ればいいじゃん?おめーさんばかじゃね?」
とか言いいたんだろうなほんとうはわたし。

たぶんそれは言えない。この先もずっと。
それはわたしがやさしい人だからじゃなくて偽善者だから。

偽善者っていい人ぶる人のことじゃなくて
自分の思っていることをかくす人。
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